Q6:円形人孔の開口部における照査について

■円形人孔の開口部における照査について

円形人孔の開口部(側壁)の照査方法として、2006年制定トンネル標準示方書(開削工法編)P329 では、トンネル開口部が存在しない「側壁-1」と、トンネル開口部を有する「側壁-2」に対して検討する方法が示されています。(土木学会方式

【側壁-1・側壁-2の解析モデル】

 

■東京都(特殊人孔構造計算の手引、P4-18)では、次の記載があります。
※東京都の場合、計算スパンとしては、版構造では壁厚の半分を加算しますが、梁構造の場合は壁厚の半分を加算しないルールのようです。(東京都方式

 

 

■円形立坑の開口部における合理的なモデル化に関する報告事例

大深度円形立坑の開口部に対して、FEMにより構造解析した場合の考察が報告されています。

R2年度土木学会全国大会第75回年次学術講演会(Ⅵ-921)
R3年度土木学会全国大会第76回年次学術講演会(Ⅵ-696)
※熊谷組(山口氏)、早稲田大学(板野氏、岩波氏)

【考察のまとめ(抜粋)】
・開口部付近の主応力の向きは,シールドトンネル開口の設置に伴い,水平方向から非欠円部の円形断面に向かう力の向きに変化する.
・欠円断面の主応力方向は,現行の設計手法で考えられているような鉛直方向ではなく水平方向となる.
・側壁-1に関し,梁公式を用いる現行の設計方法は,過大な設計になっている可能性がある.
・側壁-1においては,リングばねモデルを用いることで3次元効果を考慮することが可能である
・開口と開口の中心角が120°~150°程度以上あれば,十分なリング効果が期待できる.

 

※現行の設計方法(開口部の側壁を縦梁や片持梁で評価する方法)は、過大設計になっている場合もあると思いますので、今後の基準整備に期待したいところです。