Q5:道路橋下部工やBOXカルバートの許容変位量について

 道路橋下部工やBOXカルバートなどの地下構造物の許容変位量については、原則としては次のようになります。
 
『近接工事に伴う既設構造物の変位量は、次に挙げる要因から決まる許容変位量を超えてはならない』
(1)基礎本体及び下部構造躯体の応力度
(2)上部構造の強度及び機能
 以上をもとに、具体的にはどのような値を設定すれば良いか・・ということになりますが、
現行の基準書等を探しても、記述がありません。
せいぜい、、→ココ あたりで道路橋の許容値を参考にする程度になりますが・・
この資料は、過去の工事報文や事例発表などの一例を示したもので、その条件等を理解しなければ
あまり意味が無いものとなってしまいます。

 杭基礎を有する橋脚構造に対して、FEM解析を行った場合、部分的な変形とはならずに、全体が一様に移動する変状となります。これにより、下部構造躯体の応力度は、あまり影響が無いと考えて良いのと考えられます。
一方、全体が一様に移動することより、基礎本体には影響を与えていると考えられます。
現行の設計基準(道示Ⅳ/H14.3、P245)では、『杭基礎の許容変位は、杭径の1%(杭径1500mm以下の杭は、これまでの実績を考慮し15mm)』と記載されている。
以上の内容より、杭基礎構造物の許容変位量は15mmで良いと考えます。

次に、杭を有しない地下のボックスカルバートの場合
一様に変形するのであれば、実用上の許容値(美的、出来形管理規格値[例:±30mm])以下であれば良いと思いますが
矩形ボックスが変形(ひし形変形)する場合などには応力上の問題が生じるので、躯体の応力計算を行って影響が無い変位量を定める必要があると考えます。とはいえ、比較的小さいボックスであれば、ひし形に変形せずに全体が一様に変形するため、実用上の許容値以下(±30mmでは大きすぎる)で判断すれば良いと考えます。