Q4:円形人孔の軸方向鉄筋はどうやって決めるの?

■円形人孔の軸方法の鉄筋について(その1)
円形人孔の軸方向の鉄筋は、「東京都下水道局/特殊人孔構造計算の手引R5年4月(P5-1)」によると
「計算上必要なコンクリート断面積の0.8%以上を確保する」考え方が記載されています。

 



※具体例)縦方向鉄筋の、計算上必要な鉄筋コンクリート断面積の0.8%以上は、
以下の式より算出します。
※耐震計算(縦方向)に本体自重が算出されていますので、その値を引用します。
431.8455÷9N/mm2×0.008=383.863m2<11423.62m2(OK)


 

軸方向鉄筋の計算 (計算例)・・・原稿データ

軸方向鉄筋は、以下の計算により定めた径を、全階での標準径とした。

底版反力(W3)
W3 = 783.191 kN/m2
底版面積(A)
A = 7.500 2 × π/4 = 44.179 m2
軸力(N1)
N1 = W3 × A
= 783.191 × 44.179
= 34,600 kN

人孔側壁面積(A’)
A’ = ( 7.500 2 - 5.500 2 ) × π/4
= 20.420 m2
人孔側壁に作用する圧縮応力(n)
n = N / A’
= 34,600 / 20.420
= 1,694 kN/m2
人孔側壁の単位幅に作用する軸力(N2)
N2 = n × A” (A”=壁厚×単位幅)
= 1,694 × 1.000 × 1.000
= 1,694 kN

軸方向鉄筋は、計算上必要なコンクリート断面積の0.8%以上の鉄筋を配置するものとした。

必要鉄筋量(mm2) = 軸力(N) ÷ コンクリート許容曲げ圧縮応力度(9.0N/mm2)×0.008
= 1,694,404 / 9.0 × 0.008
= 1,506 mm2

下表の計算より、必要鉄筋量以上となる鉄筋配置を決定する。
径 断面積 間隔 本数 片側鉄筋面積 ※全鉄筋面積
(mm2) (m) (本) (mm2) (mm2)
D13 126.7 0.25 4 507 1,014
D16 198.6 0.25 4 794 1,589 ←採用
D19 286.5 0.25 4 1,146 2,292
D22 387.1 0.25 4 1,548 3,097
※全鉄筋面積は、外筋と内筋を同径とする場合


 

■円形人孔の軸方向の鉄筋について
 円形人孔の耐震設計を行った場合、軸方向鉄筋が力を受け持つことになります。計算を行うと、多くは圧縮鉄筋であったり、引張が加わったとしても小さい応力レベルになります。
軸方向鉄筋を決定する、ひとつの考えとして、以下の評価のご紹介です。

1)断面積に対する鉄筋量
 AS1=0.0015・b・d(ここでb・dとは、コンクリートの全断面積)
   =0.0015×1000×350(部材幅1000、部材厚350mmの場合)
   =525mm2
※道路橋示方書(H2Ⅳ,P132) 

 

2)引張側主鉄筋または、軸方向鉄筋に対する鉄筋量
 軸方向鉄筋 As=1147.2(4-D19)
 As2=1/6×As
   =0.16667×1147.2
   =191.2mm2

3)鉄筋の決定
必要鉄筋量は、As1とAs2のうち大きい値を採用する。
As1=525mm2 ←こちらを採用
As2=191.2mm2